2016.04.18

弊社代表が単行本「『戦務』が組織を動かす」を上梓

 このほど、弊社代表の高雄宏政が、単行本「『戦務』が組織を動かす 戦略・戦術よりも大切なビジネスの要諦」(世界文化社発売、1,600円/税別)を上梓しました。
 企業や軍隊などの組織にとって戦略や戦術は欠かせませんが、それと同じように重要な要素として「戦務」があります。戦務という言葉はすでに死語となり、今日ではほとんど使われていませんが、その意味は兵站などのほか、現代の企業経営に当てはめると、インフォメーション、コミュニケーション、ネットワーク、情報収集、危機管理、労務管理、市場開拓、総務・財務などが含まれ、この言葉を生み出した明治海軍の秋山真之(日本海海戦の先任参謀)は、「(戦務は)戦略や戦術のように直接敵と戦うための技術ではないが、これを用いなければどんなに巧妙な兵術も実行することはできない」として、その役割の重要性を説いています。
 本書は、戦務という言葉の意味と本質を考えるとともに、戦国時代の武将が行った戦務の事例、戦務不在がもたらした太平洋戦争の悲劇、そして現代の企業経営における戦務家たちを紹介し、見落としがちな経営の本質を探ろうとするものです。
 第1章では、戦略や戦術のルーツを探るとともに、戦略理論を解説し、戦務との違いを考えます。
 第2章では、戦務という言葉を考え出した明治海軍の先任参謀・秋山真之にスポットを当て、その功績と事績を振り返ります。
 第3章では、秋山真之が海軍大学校の教材として用いた「海軍戦務」を通して、彼が戦務として挙げた「令達」「報告及通報」「通信」「航行」「碇泊」「捜索及偵察」「警戒」「封鎖」「陸軍の護送及揚陸掩護」「給与」について解説し、現代の企業経営に置き換えて考察を加えています。
 第4章では、戦国時代の戦務の事例として、「墨俣一夜城」「長篠の戦い」「賤ヶ岳の戦い」などを紹介し、天下人となった豊臣秀吉が戦務家であったことを解き明かしています。
 第5章では、近代戦における戦務の事例として、日露戦争時の戦費調達や鉄道敷設などのエピソード、物資輸送を担った輜重兵の実態、日本と連合軍のオペレーションズ・リサーチの違い、戦務を無視したノモンハン事件やインパール作戦などを紹介しています。
 第6章では、現代の企業経営における戦務を考え、戦務家の例として、トヨタ自動車元社長の奥田碩氏、全日空元社長の野村吉三郎氏、住友林業会長の矢野龍氏、近江兄弟社元社長の岩原侑氏、アサヒグループホールディングス会長の泉谷直木氏、キヤノン会長兼社長の御手洗冨士夫氏の足跡を紹介しています。

書 名:「戦務」が組織を動かす 戦略・戦術よりも大切なビジネスの要諦
著 者:髙雄宏政
発行日:2016年5月10日
発 行:株式会社世界文化クリエイティブ
発 売:株式会社世界文化社
定 価:1,600円(税抜)
内 容
第1章 戦略と戦術       戦略と戦術の起源
                軍人たちの戦略理論
                我が国の戦略のルーツ
                企業経営における戦略
第2章 秋山真之        軍事用語集『兵語界説』
                智謀湧くがごとし
                完勝だった日本海海戦
                戦務を軽んじた昭和海軍は惨敗
第3章 海軍戦務        戦務は戦略や戦術を支配する
                「令達」──インフォメーション
                「報告・通報」──コミュニケーション
                「通信」──ネットワーク
                「航行」──サプライチェーン
                「碇泊」──メンテナンス
                「捜索・偵察」──情報収集
                「警戒」──危機管理
                「封鎖」──労務管理
                「護送・揚陸掩護」──市場開拓
                「給与」──総務・財務
第4章 戦国時代の戦務     〝戦務家〟だった秀吉
                戦国時代の兵站
                プレハブ工法で築いた墨俣一夜城
                事前に柵木を用意した長篠の戦い
                急行軍で勝った賤ヶ岳の戦い
第5章 近代戦における戦務   戦費調達も重要な戦務
                補給用の鉄道を敷設した日露戦争
                一般兵より軽視されていた輜重部隊
                戦時における科学的分析の欠落
                「物資威力」と「精神威力」の戦い
第6章 企業経営における戦務  間接部門や非主流部門が戦務家を育てる
                大企業病のトヨタを変えた経理出身の辣腕家
                全日空のお家騒動を救った労務畑出身の社長
                住友林業のトップに登りつめた非正規採用者
                近江兄弟社を倒産から甦らせた管理部長
                アサヒビールに新風を巻き起こす広報畑のCEO
               〝島流し〟に遭った男が貫くキヤノンの日本流経営
<あとがきより>
戦務という言葉は日本語から失われたが、戦務が現代の企業経営において重要なことは軍隊の組織と変わらない。企業における戦務とは、総務・人事・労務・財務・広報などの管理業務から、情報収集、危機管理、市場開拓、さらにはネットワークやオペレーションズ・リサーチなども含まれる。戦務という機能を十分に使うことができなければ、どんなに立派な経営戦略を立てても絵に描いた餅に終わり、計画を実行することはできない。
<本書ソデより>
日本海海戦でロシアのバルチック艦隊を撃滅した日本海軍の先任参謀・秋山真之は、海軍大学校で「戦務」について講義し、「これを用いなければどんなに巧妙な兵術も実行することはできない」と明言。さらに、賤ヶ岳の戦いを例に挙げ、「この勝利の主因は、秀吉が優勢な大軍の作戦正面を変えて、半日で長程の急行軍を行った戦務上の用意周到にあったことに尽きる」としている。では、戦務とはいったい何なのか。その言葉の意味と本質を探るとともに、「戦務家」と呼ぶにふさわしい人物を紹介してみる。


<著者プロフィール>
ジャーナリスト、広報コンサルタント、㈱タカオ・アソシエイツ代表取締役社長 1949年生まれ。73年同志社大学工学部卒。ジャーナリストとして経営トップなどのインタビュー記事を連載する一方で、広報コンサルティング、報道分析、企業出版の制作などを行い、「PRアワードグランプリ スキル部門賞」など数々の賞を受賞。日本編集制作協会理事長、日本パブリックリレーションズ協会理事などを歴任。著書に「広報が会社を強くする」「リーダーの決断」「企業出版の研究」「高度情報システム化時代に生き残るための必須知識」、共著に「広報の仕掛人たち」「企業イメージと広報」「マーケティング・コミュニケーション大辞典」などがある。

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