2023.05.08

「2022年度版 報道分析の統計資料」を発表

 報道分析調査のパイオニアであるタカオ・アソシエイツでは、報道分析の調査結果をもとに集計した記事内容などに関する「統計資料」を毎年発表しています。このほど2022年度(2022年4月〜2023年3月)版の集計がまとまりましたので、その概要をお知らせいたします。

 基準媒体*1における単独主役記事1件あたりの平均スペースを主要企業グループ96社*2(社数は調査項目によりに異なります)の記事により分析すると、2022年度はこれまでの調査で最大の226.3㎠でした。なお、平均スペースの精度を高めるため過去5年間(2018年〜2022年)を集計すると、全記事12万7,527件に対して平均スペースは210.3㎠となり、これを基準スペース*3とします。

 記事の平均スペースは年々拡大傾向にあり、18年間で43.0%大きくなっています。スペースが拡大している要因としては、①2007年12月に毎日新聞が活字を14%拡大し、他紙もこれに追従したこと、②記者の数が2005年の2万315人から2022年には1万6,531人(日本新聞協会発表)と18年間で2割近くも減り、記者一人当たりの受け持ち=負担が増えていること、③「雑報」や「ベタ記事」が減り、業界傾向などを取り上げる「まとめ記事」が増えていること、④若者の活字離れに対応するため紙面のビジュアル化が進んでいることなどが考えられます。

 記事の内容については、「経営情報」「事業情報」「社会情報」の3つの大項目にわけるとともに、項目ごとに4つ、計12の小項目をつくり分類しています。その結果、主要企業グループ97社の直近5年間における新聞および主要ビジネス誌(以下、紙媒体)の記事12万1,591件の記事内容は、新製品や事業動向などを取り上げる「製品事業」が23.5%、業界動向やイシュー、特定の企業などにスポットを当てた「解説論評」が15.1%で、この2項目で4割近くを占めました。

 一方、Web(Yahoo!ニュース)の記事15万7,006件を分析したところ、「製品事業」が46.7%、「営業宣伝」が11.5%、「研究開発」が8.8%でした。この結果、これらの項目が含まれる「事業情報」が約7割(69.2%)に達し、紙媒体の37.9%を大幅に上回りました。逆にWebでは、「経営戦略」や「人事組織」などを扱った「経営情報」がわずか8.4%しかなく、紙媒体の27.7%と比べると3分の1以下でした。このように紙媒体とWebでは、扱われる記事の傾向が明らかに異なっています。

 論調分析の結果を過去5年間にわたって集計すると、調査した19万5,126件の記事のうち読者に好印象を与える「プラス記事」は11.1%、ニュートラルな「一般記事」は82.2%、ネガティブな「マイナス記事」は6.7%でした。プラス記事の内容としては、販売好調を伝える記事が25.5%で最も多く、次いでCSR関連記事が21.7%、企業活動などに対する評価が18.0%、業績好調を報じる記事が17.3%でした。一方、マイナス記事は、業績低迷を伝える記事が28.9%、不祥事が17.6%、販売不振が15.1%、課題が14.1%、欠陥が12.9%でした。

 企業が配信するニュースリリースがどのくらいの割合で記事になったかを調べると、主要企業グループ49社の直近5年間における情報発信3万522本のうち、記事になった割合(ヒット率)は31.8%、リリースをもとに書かれた記事が当該企業の全記事に占める割合(アウトプット占有率)は32.0%でした。ヒット率は調査を開始した2014年度の41.6%をピークに年々減少しています。一方で、2022年度のリリース本数は年間平均163本と過去最多となりました。

 経営トップの露出状況を調べると、主要企業グループ97社の直近5年間における記事13万7,796件(Webを含む)に露出した経営トップ(会長、社長)は206名で、経営トップが露出した記事は1万8,847件でした。この結果、経営トップが露出する割合は全記事の13.7%となりました。なお、記事の扱いは、人物紹介が30.8%、コメントが掲載されている記事が29.7%、決算発表や新製品発表などで露出したものが17.8%、インタビューや対談記事が7.4%、その他(アンケート調査などで氏名だけが掲載されたもの)が14.3%となっています。

 主要企業グループ98社の2022年度の広告料金換算値は月平均5,325万円(基準媒体26紙誌での集計)で、2014年に記録した9,538万円をピークに減少傾向にあります。  当社独自の広報効果測定値である「ETA」モデルは、2022年度は月平均142.1ポイントを計上し、前期より19.0ポイント向上。やや回復傾向にあります。

 2018年度~2022年度の5年間にYahoo!ニュースで掲載された記事14万6,912件の配信元を調べると、1位は「Impress Watch」で、5年間の合計で1万6,922件と突出して多く、この間の全配信元の11.5%を占めました。2位はエンターテインメント系の「まんたんウェブ」で6,375件(4.3%)、3位は同じくエンタメ系の「ねらとば」で4,090件(2.8%)、4位は「オリコン」で3,893件(2.6%)でした。


*1)基準媒体:全国紙(朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、産経新聞、日本経済新聞)、ブロック紙(北海道新聞、河北新報、東京新聞、中日新聞、中国新聞、西日本新聞)、有力地方紙(新潟日報、信濃毎日新聞、静岡新聞、京都新聞、神戸新聞、山陽新聞)、産業経済紙(日経産業、日経MJ、日刊工業)、主要ビジネス誌(日経ビジネス、週刊ダイヤモンド、東洋経済、プレジデント、エコノミスト)の25紙・誌

*2)調査企業:食料品、繊維製品、化学、医薬品、鉄鋼、金属製品、電気機器、輸送用機器、精密機器、その他製品、小売、不動産、証券・金融・保険、小売、運輸、情報・通信などの東証プライム企業またはそれに準じる企業グループ約100社(調査する案件により多少変動)

*3)基準スペース:スペースを加味して露出状況を計測するETAモデルを算出するときに用いるもので、相対的な件数にその企業の平均スペース/基準スペースをかけて実質的な掲載件数とする


Copyright©2023 Takao Associates Co., Ltd. All Rights Reserved.